離婚を希望しないときも弁護士に依頼すべきか?
ご相談者の方の中には、「相手から離婚を請求されているけれど、自分としては離婚は希望せず、夫婦関係を修復したいと思っています」という方もいらっしゃいます。
このときに、弁護士に依頼する必要はあるのでしょうか。
弁護士によって意見が異なるかもしれませんが、私はあると思います。
確かに、弁護士に依頼したとしても、相手の心を変えさせることはできません。
相手の気持ちが変わらなければ、結局は相手は自分の元に帰ってこないわけですから、その観点から「弁護士に依頼する必要はない」というのも一理あります。
しかし、それでも私は弁護士に依頼した方がいいと考えます。
特に、相手方に弁護士がついている場合は、必須だと思います。
理由は以下の3つです。
1つめの理由は、話し合いの途中でも決めなければならないことがあるからです。
離婚を請求されている場合、特に相手方に弁護士がついて離婚を請求されている場合、多くのケースで別居がなされています。
離婚が成立する前であっても、別居を開始している以上、決めなければならないことがあります。
それは、婚姻費用の額と、子どもがいる場合は子どもとの面会交流についてのルールです。
弁護士と弁護士以外の方では、これらの知識について相当の差がありますから、弁護士を入れずに自分で交渉すると、相当不利な内容の条件になりかねません。
一度合意が成立してしまうと、後から覆すのは極めて難しいため、初期の段階から弁護士に依頼した方がいいと思います。
2つめの理由は、交渉していくうちに相手の気が変わることがあるということです。
通常、相手方に弁護士がつくと、相手と直接コミュニケーションを取ることが難しくなってきます。
そのことにもどかしさを感じるでしょう。
そこで、こちらも弁護士に依頼することによって、第三者の視点から、相手の気持ちなどを考え、粘り強く相手の弁護士に働きかけていくこともできます。
3つめの理由は、交渉していくうちに自分の気が変わることもあるということです。
今は離婚を望んでいなくても、交渉していく内に自分の気が変わって、離婚を希望するようになる、ということもよくあります。
もっとも、それまでにいろいろな条件を出してしまっていると、そこから条件を撤回するのは相当難しくなってしまいます。
そのときに、自分が不利な状況に陥らないためにも、弁護士に依頼してどこまでなら条件提示しても問題ないか、慎重に見極めながら進めていく必要があります。
以上の3つの理由から、私としては、特に相手方に弁護士がついている場合は、離婚を希望していなくても、弁護士に依頼することをお勧めします。
弊所でも、そのようなご相談もお受けしていますので、ぜひご相談下さい。