週刊誌報道にみる不倫事件の流れ
現在、週刊誌上で、俳優の不倫が発覚したということで、大きな話題となっています。
不倫報道がされた夫側は今後修復を希望されているとのことですが、法律上、不倫が発覚した後でどのような流れになるかについて、
今回の件を題材に簡単にご説明したいと思います。
1 別居後に発生する婚姻費用
不倫行為が発覚した場合、そのまま同居を続けるケースもありますが、今回のように、別居に至るケースも多々あります。
その場合、妻は夫に対し、婚姻費用を請求することができます。
婚姻費用の額は、夫と妻の収入を元に、裁判所が示している婚姻費用・養育費算定表に基本的に則って決められます。
お互いの収入資料は、通常の労働者であれば源泉徴収票、給与以外の収入がある人や、自営業者は確定申告書を元にします。
どちらの資料も手元にない場合は、区役所・市役所などで発行される「課税(非課税)証明書」を元に決めます。
お互いの話し合いで婚姻費用が決まればそれでいいのですが、話し合いがまとまらない場合は、調停を申し立てることになります。
調停の話し合いでまとまらなければ、審判といって、判決のように裁判所が一方的に判断した額になります。
なお、調停上で合意した場合は調停調書が、審判がなされた場合には審判書が作成されますので、仮に相手が婚姻費用を支払わなかったら、給与などの強制執行を行なうことができるのですが、
裁判手続を経ないただの合意書だと、基本的に強制執行ができません。
そのため、強制執行が行えるようにするためにも、ぜひ公正証書を作成することをお勧めします。
2 離婚について
報道によると、夫は離婚を希望していないとのことですが、妻が離婚したいと考えた場合、今回は夫に離婚原因がありますので、離婚は認められることになります。
その際は、主に3つのことを決めることになります。
一つ目は、財産分与。夫婦間で築いた財産を分けることになります。基本は、結婚後に増えた財産を2分の1ずつ分けることになります。
二つ目は、慰謝料。不倫に関する慰謝料になります。
三つ目は、子どもに関すること。大きく分ければ、親権と養育費になります。
一つ目の財産分与に関しては、たまに誤解される方もいらっしゃいますが、不倫をしたこととは関係なく、2分の1が認められることになります。
不倫をした場合は全く財産分与を渡さない(又は極めて低額にしか渡さない)と主張される方もいらっしゃいますが、法律上はその主張は通りません。
二つ目の慰謝料については、概ね100~300万円程度と言われますが、近年の裁判所は低額化の傾向にあります。
担当した裁判官により、金額は大きく変わってしまうことがあるのですが、200万円を超えるケースはそう多くはありません。
慰謝料の算定の要素としては、結婚期間、不倫をしていた期間・回数、子どもの有無などによります。
よく芸能人の不倫となると、何千万、何億の慰謝料を想像される方もいらっしゃいますが、持っている財産の多さと慰謝料の額は関係がありません。
それは、恐らく財産分与も含めた金額であることがほとんどです。
なお、妻は、夫とは別に、不倫相手にも請求することもできます。
ただし、慰謝料の額は、夫と不倫相手の両方が払うべき総額です。そのため、例えば、慰謝料が200万円が妥当だとしても、夫が妻に支払えば、妻は不倫相手には請求できなくなります。
三つ目の子どもに関することについては、親権と養育費を決めることになります。
今回のように、子どもが幼い場合は、別居前に子どもの面倒を主に見ていたのはどちらかで決まることになります。子どもが15歳以上など、それなりに成長している場合は、子どもの意思が尊重され、子どもが希望する方が親権を有することになることが多くあります。
養育費は、婚姻費用と同じく、裁判所が出している算定表を基準に算出されます。
なお、以上はあくまでも妻が離婚を希望した場合になります。
不貞行為が発覚した後も、様々なことを考えて離婚に至らないケースも多々あります。
現時点で、妻側が離婚を希望しているかどうかは明らかではありませんので、今後の動向を見守っていきたいと思います。