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婚姻費用は、夫婦の共同生活のための費用です。
イメージとしては、婚姻費用=子の養育費+配偶者の生活費とお考え下さい。
離婚するまでの間、基本的には、収入の多い方が少ない方に対して、婚姻費用を支払う義務があります(収入の多い方が別居して子を養育している場合は、収入の少ない方が支払う義務があることもあります。)。
また、養育費は、離婚した後、子どもを養育する際に必要な費用です。
これは、収入の多寡というより、子を引き取っていない親が、引き取った親に対し支払うものです。
これらの額は、基本的に両者の収入を基本として、家庭裁判所が出している養育費・婚姻費用算定表に従って算出されます。
そのため、お互いの直近の収入資料(源泉徴収票、確定申告書など)を用意していただく必要があります。
このように、お互いの収入を元に算出するので、これも単純と思われることもありますが、激しく争われることが多々あります。
「お互いの収入」といっても、様々なケースがあり得ます。
例えば、自営業者の場合、確定申告書が収入を適正に反映していない場合があります。
本来計上すべき収入が計上されていなかったり、逆に計上すべきでない経費が計上されていて収入が少なく見積もられたりしていることがあります。
また、歩合給やインセンティブ報酬の割合が多い職種の場合だと、収入の変動がかなり激しいことがあります。
この場合に、直近の収入でみるのか、数年分の平均でみるべきなのかなどについて、争われることがあります。
さらに、相手が働く能力があり、働くことができる状況であるにもかかわらず、働こうとしない場合に、収入を0とするのは妥当ではありません。
この場合は、本来働いていたとしたら得られるであろう収入を元に計算されることがあります。
また、家庭裁判所が使用している養育費・婚姻費用算定表は、あくまで平均的な家庭での支出を元に算出されています。
そのため、何らかの事情で、通常以上の特別な支出(特別支出)がある場合は、それも考慮されます。
例えば、子が私立の学校に通っていて高額な教育費がかかっている場合、特別な病気やケガがあり高額な医療費かかっている場合などは、通常の養育費・婚姻費用では賄えないため、別途計算に入れる必要があります。
さらに、いったん養育費を決めた後でも、後の事情変更により、養育費を変更することもできます。
例えば、リストラなどにより収入が大幅に減ってしまった、相手の収入が大幅に増えた、再婚して再婚相手の子と養子縁組した、などです。
婚姻費用は、別居した日以降から請求するのが一般的ですが、相手方が支払いに応じない場合、婚姻費用の額が決まるまで一定期間(数か月)かかることになります。
その場合、過去の分の婚姻費用はどうなるのでしょうか。
過去の婚姻費用についても、相手方に請求することはできます。
ただ、調停を申し立てる前の分の婚姻費用については、裁判所が認めない傾向にあります。
したがって、別居したら、できるだけ早めに婚姻費用を請求する方が、過去の分も含めてより多くの金額を請求することができます。
そのためにも、早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。
養育費を決めたにもかかわらず、相手方が養育費を支払ってくれない場合はどうしたらいいでしょうか。
この場合、強制執行を行うことを検討することになります。
また、家庭裁判所に申し立てて、履行勧告をしてもらうこともあります。
ただし、強制執行を行うためには、調停で成立した場合や、審判・判決が出されるなどして、裁判所が関与しているか、又は公正証書を作成した場合に限られます。
つまり、裁判所も関与せず、公正証書でもないただの合意書の場合は、一度裁判所に訴訟を提起して、判決をもらう必要があります。
この場合、合意書があったとしても、判決が出るまで少なくとも数か月かかってしまいます。
そのためにも、養育費について合意する場合は、ただの合意書ではなく、調停などを申し立てるか、公正証書を作成することをお勧めしています。
このように、一口で養育費・婚姻費用といっても、様々なケースが考えられ、検討すべきこともたくさんあります。
養育費・婚姻費用を検討する際には、ぜひ弁護士にご相談下さい。